太陽追尾式発電
太陽光発電に用いられる太陽電池パネルは、建屋の屋根又は陸上に南側斜めに固定されるのが一般的です。しかし、太陽光がパネルに斜めに射すとその分発電効率は下がってしまいます。効率を維持するために、太陽光が垂直に当るようにパネルを動かせばパネルの能力を最大限発揮できます。
ところが、移動する太陽に常時パネルを対向させるためには装置の構造が複雑になり、結果としてコスト高となり、また向きを変えるための動力を多く消費しては効率アップ分の電力を消費してしまうことになります。本装置は、これらの欠点を解消し、採算性を向上させた追尾式太陽発電システムを提供するものです。
特長が、３つあります。
第１の特長は、光源追尾センサー。
第２の特長は、流体ベースの駆動方式。
第３の特長は、あらゆる場所に設置可能。
第１の特長は、光源追尾センサーにあります。当社の開発した追尾センサーは、小型ながら３個の受光素子を三角錐の各面に配置する事により全天空を視界に入れる広視野角をもっており、太陽を見失うことがない。太陽が雲に隠くれているときは天空で最も明るい所を指し、感度、指向性が良く、高効率で集光でき、直接パネルに固定できるので、向きがずれることがありません。
第２の特長は、流体ベースの駆動方式にあります。他社は、ギアモータ、油圧ポンプを使用しており、ギアモータは構造上作動音がうるさく、油圧ポンプは漏れの心配があるという欠点があります。当社は、流体ベースの駆動方式で、静音、漏れの心配もない。受光パネルは、下面が市中の上端に全方向に傾動可能に支持されており、２つの傾斜角駆動シリンダによって、必要とする方角方向に向けて傾斜角が変わるように駆動され、２つの傾斜角駆動シリンダは、おのおのの一端側から伸び出て受光パネルの傾斜角度を変えるための駆動ロッドと、その他端側から伸び出る遊動ロッドを有する両ロッドタイプのシリンダである（特願2013-168475）。
第３の特長は、あらゆる場所に設置可能ということです。『地上数メートルの空聞を有効利用』するので、設置場所を問わない。設置スペースが小さいので駐車場などに設置し駐車台数への影響はほとんど出ません。
さらに、第１の特長の「光源追尾センサー」を技術面から詳しく説明いたします。
（図－１）に受光素子と光の入射角、光量、素子の感度の関係を示します。素子の正面から光を受けたとき、素子は最大感度を示し、水平から光を受けたときはゼロとなります。
（図－２）は、受光素子の感度特性を現したもので、中央の丸い部分が各角度から入光した場合の感度を示しています。この丸い形状は受光素子によって異なり細長いものもあればいびつな型のものもあります。
（図－３）は三角錐を上から見たものでその３個の面に受光素子を取り付けています。
本装置では受光素子の特性としては比較的丸いものを選択しています。これはセンサーが太陽をキャッチしたとき、受光素子は４５°から光を受けているので、その辺での感度が良く滑らかな特性を持ったものの方が扱い易いからです。
（図－４）は三角錐を横から見た図です。３個の丸は受光素子を現しています。
（図－５）は入射角を横軸に、素子の感度を縦軸に表したものとなっています。例えば、太陽光が右に１０°移動した場合（図－５）に示すように素子Ａの感度は光源が正面に寄ってくるので感度は上昇するが、Ｂの感度は逆に下がってしまいます。しかもこの１０°のズレはその方向さえ明らかにしてくれるのです。また、光源が水平にあっても当然認識可能でしかも三角錐の３面に素子を置くことにより水平３６０°を視野に納める事が可能となります。
これが、天空の中の最も明るい点を見出す“目”となります。そして、これら３個のセンサー出力が一致した所が最も明るい点をキャッチしたことになり、その方向にセンサーと一体化したパネルを動かしてやればよいことになります。他に例を見ない画期的でシンプルで高機能です（実用新案登録 第３１２８０４０）。
他社の追尾方式はプログラム法といって、あらかじめ１～２０年分の太陽の座標をコンピュータに記憶させておき、太陽を追っている追尾方式です。設置の際は、緯度、経度、年、月、目、時、分など細かく設定し、設定された方角にパネルが動く。ただし、時計に狂いが発生し、駆動部とパネルがずれても補正はできない欠点があります。さらに、そのときの太陽を追っている訳ではないので、定期検査で累積誤差を調整しなければならないという欠点もあります。
以下に、特長をまとめて示す。
・固定型に比較し170%以上の高発電量
・高性能追尾センサーにより最適方角保持
・短時間（5分間隔）駆動
・位置ズレ補正不要
・高耐久性
・超低消費電力
・高機能
・低価格
以下に、技術情報をまとめて示す。
・定角発電能力 3.84kw
・モジュール枚数 16枚
・駆動軸数 2軸
・追尾方式 光源追尾センサー（追尾アルゴリズム不要）
・駆動範囲 垂直45°／水平270°
・強風センサー 風速15m/s 水平移動（60m/sまで変更可）
・積雪センサー 積雪2cm 45°強制傾斜（風速優先）
・消費電力 10Wh/日
・最大許容風速 45m/s
・動作時周囲温度 -5℃～45℃（凍結しないこと）
